Copilot Studio CUAがGA、MSが選んだのはClaude Sonnet 4.5
Microsoft Copilot Studioのコンピュータ使用エージェント(CUA)が5月13日にGA到達。GAモデルにOpenAI CUAとClaude Sonnet 4.5が並んだ意味、4本柱(CUA・Workflows・Voice・Work IQ)の全体像、自社で1つに絞る3軸を整理します。
この記事でわかること
- Claude Codeの料金や導入論点が、いまどこまで整理されているか
- 自分の立場なら、どのプランや導入段階を見ればいいか
- 次に読むべき関連記事が、料金・使い方・全体像のどこにあるか
「Microsoft Copilot StudioのCUAがGAになりました」と聞いて、ピンとくる方は多くないと思います。CUAはComputer-using agents、つまりコンピュータを使うエージェントのことです。要は、APIが用意されていないWebサイトやデスクトップアプリでも、AIが画面を見て、マウスを動かし、入力欄を埋め、ボタンを押す。人間がやっていた操作を、AIが代わりにやる仕組みです。
その「人間の代わりに画面を触るAI」が、Microsoftのエンタープライズ向けプラットフォーム上で正式版になったのが2026年5月13日。発表は地味でしたが、中身を読むと業界の構図が音もなく変わっています。
特に見落としやすいのが、CUAに搭載されたGAモデルです。OpenAI CUAと並んで、Claude Sonnet 4.5が入っています。つまり、Microsoftが自社プロダクトの基幹機能で、Anthropic製モデルを公式に採用しました。「Claude vs OpenAI vs Microsoft」と書かれてきた業界の対立軸が、現場では「同居運用」へ変わり始めています。
この変化が、「どのAIを使うか」という意思決定に与える影響は、決して小さくない。5月13日の発表内容を地図にしたうえで、自社で絞るための3軸と、7日以内の「今週の1手」まで書きます。
「Copilot Studio CUAがGAになった」一行で済まない発表の中身
Microsoftが2026年5月にCopilot Studio向けに出したアップデートは、見出しだけ追うと「またMicrosoftが何か発表した」で終わってしまいます。でも、内訳を読むと、Copilot Studioという1つの製品の中に、別ベンダーが「製品」として出してきている機能が4つ、ほぼ同時に詰め込まれていた。

正式発表に含まれていた更新は、大きく4つです。
1つ目がComputer-using agents(CUA)の一般提供開始。Microsoft Community Hubでの発表は2026年5月13日付で、全商業地域のMicrosoft Power Platformでの提供と明記されています。これは「画面を操作するAI」の本番投入を意味する。
2つ目が、新しいワークフロー体験。CUAが扱う画面操作と、API呼び出し・承認・ビジネスロジックなどを、ひとつのキャンバスで設計できる仕組みです。早期リリース(Early Release)扱い。
3つ目が、リアルタイム音声エージェント。北米地域でDynamics 365 Contact Center経由でGA提供。レイテンシは500ミリ秒未満、音声から音声へ直接(speech-to-speech)応答できる構造で、コールセンター業務での実利用が始まっています。
4つ目が、Work IQの拡張。REST APIとCLI(コマンドラインインターフェース)が用意され、リモートのMCP(Model Context Protocol)サーバーへも接続できるようになりました。MCPはAnthropicが提唱した、AIエージェントと外部ツール・データソースを繋ぐためのオープンな規格です。これに加え、SAP・Salesforce・ServiceNowなど主要業務システムへの事前構築コネクタも揃いました。
「Copilot Studio CUAがGAになりました」という見出しを真に受けると、CUAだけが変わったように見えます。実際は、CUAという「手」、Workflowsという「設計図」、Voiceという「口」、Work IQという「データの土管」が、ほぼ同時にまとまって出てきました。中の人にとっては別チームの仕事でも、外から見れば「Copilot Studio という製品がAIエージェントの基幹インフラとして商用化された日」だったわけです。
そう聞くと「うちはMicrosoft 365を全社で使っていないから関係ない」と思う方もいるかもしれません。後ほど触れますが、ここで起きた変化は「Microsoft 365利用企業の話」ではなく「AIエージェントの実装パターンの話」です。順を追って見ていきます。
GAモデルにClaude Sonnet 4.5。MSが「対立」をやめた日
ここからが、僕が今回いちばん見てほしいポイントです。
CUAのGA発表には、もう一行、地味だけれど重要な記述が含まれていました。
The GA build ships with OpenAI CUA and Claude Sonnet 4.5 as GA models(GAビルドは、OpenAI CUAとClaude Sonnet 4.5をGAモデルとして搭載)
つまり、Copilot Studioのコンピュータ使用エージェント機能は、Microsoftが自社プラットフォーム上で、AnthropicのClaude Sonnet 4.5を「正式採用モデル」として組み込みました。これはMicrosoftがAnthropicとの提携を進めていることの、目に見える結果です。
これまで「Claude vs OpenAI vs Microsoft」と書かれてきた業界の3社の見立ては、半分以上が古くなったと思っています。Microsoftが自社プロダクトのコア機能で他社モデルを併用する設計を、はっきり打ち出してきた。
僕がClaude Codeを使っていて感じるのは、Anthropicは「コーディング」と「画面操作(Computer Use)」のような、人間の作業領域に寄り添うエージェントを得意としていることです。一方OpenAIは「Operator」「ChatGPT Agent」の系統で、汎用的なタスク代行を磨いてきました。Microsoftはこれまで、自社のGPTモデル系を中心に置いてきましたが、Copilot Studioでは「ベンダー一択」をやめて、タスクに応じて最良のモデルを差し込む方針に切り替えたように見えます。
これは、3社が殴り合っているのではなく、3社がCopilot Studioという1つの製品の中で同居運用される時代が始まった、ということです。

実際に何が変わるか、現場の感覚で書きます。
これまでは「自社のAIエージェントは、まずどのベンダーで始めるか」という問いから議論が始まっていました。Anthropicを選べば、後でOpenAIへ乗り換えるコストが心配。OpenAIを選べば、Claudeの優れたコーディング能力が使えない。Microsoftを選べば、なんとなく囲い込まれそう。そういう「どこを選ぶか」の悩み方をしていたわけです。
GA以降は、この問いの立て方そのものが変わります。「どのベンダーを選ぶか」ではなく、「どの業務(タスク)に、どのモデルを当てるか」が問いになる。Copilot Studioの中で、画面操作はClaude Sonnet 4.5、フォーム解析はOpenAI CUA、社内データ検索はMicrosoftの組み込みモデル、と使い分けるのが現実的な運用になっていきます。
しかも、Work IQのMCP対応によって、Anthropic発のオープン規格を、Microsoftが自社製品に取り込みました。これも「対立から同居へ」の象徴です。日本のKDDIアジャイル開発センターの全社Claude Code展開(KAG事例)や、JetBrains開発者調査でClaude Codeが6倍に伸びた話と合わせて読むと、企業の現場で何が起きているか見えてきます。すでに「ClaudeかMicrosoftか」の二択ではなく、「ClaudeもMicrosoftも使う」が現場の標準になりつつある。
新参の経営者がこれを聞いて怖くなる必要は、ない。むしろ逆で、「どこのAIで始めるか」を一発で正解しなくてよくなった、ということです。後から差し替えやすい構造に業界全体が向かっています。
4本柱を地図に並べる。CUA・Workflows・Voice・Work IQで何が変わるか
ここで一度、4本柱の中身を「自分たちの仕事に当てはめるとどう使えるか」の視点で、もう少し具体的に分解します。発散段としての地図づくりです。
まず1本目、Computer-using agents(CUA)です。CUAができる仕事をひとことで言うと、「APIが用意されていない既存システムを、ロボットのように操作するAI」。この一言に尽きます。GAビルドではOpenAI CUAとClaude Sonnet 4.5の2モデルが搭載され、課金は1ステップあたり5 Copilot Creditsとアナウンスされています。Azure Key Vaultで認証情報を保管し、Microsoft Purviewで監査ログを取り、人間の承認を挟む(human-in-the-loop)構成を細かく組めるのがエンタープライズ向けの強みです。
CUAが特に効くのは、こういう業務です。社内の古い販売管理システムにExcelデータを毎日転記する作業。経費精算SaaSにレシートをアップロードする作業。請求書PDFから値を抜いて会計ソフトに入力する作業。どれも「APIで連携できればいいのに、現実にはAPIがない」業務です。CUAは、これらの「人間がやっていた退屈な画面操作」を再現できます。
2本目、新しいワークフロー体験です。CUA単独だと「画面を触るAI」止まりですが、ワークフローと組み合わせると複数システムにまたがる業務を一筆書きで設計できます。たとえば「画面操作を完了したら承認者に回し、承認が通ったらAPIで別システムに登録し、例外が出たら人間に差し戻す」といった流れです。Early Release扱いで、現時点では本番設計の主軸にするより試行用に近い位置づけですが、設計の方向性は明確になりました。
3本目、リアルタイム音声エージェントです。北米のDynamics 365 Contact CenterユーザーのみGA。レイテンシ500ミリ秒未満、speech-to-speechで応答できるため、「人間のオペレーターに繋がるまでに、まずAIが要件を吸い上げる」「常時応答可能な一次窓口」といった用途で導入が始まっています。日本展開はこれから(公式アナウンスを継続確認したい)ですが、技術的には電話チャネルでAIが人間とほぼ同等の対話を成立させられるレベルに達した。
4本目、Work IQの拡張です。REST API・CLI・リモートMCPサーバーへの接続が可能になりました。MCPは前述のとおりAnthropic発のオープン規格です。Copilot Studio上で動くAIエージェントが、SAP・Salesforce・ServiceNowをはじめとした主要業務システムと、共通の作法で繋がれるようになりました。「Microsoftの世界の中だけで完結する」ではなく、「Microsoftの世界から、外の業務システムへ橋がかかった」のがWork IQの今回の意味です。
ここまで読んで、「全部GAじゃないのか」と気になった方のために整理しておきます。明確にGAなのはCUAと音声エージェント(音声は北米限定)の2つ。ワークフローはEarly Release、Work IQの新APIは順次展開という位置づけです。GAになっている2機能から先に試すのが、現時点での合理的な順番だと考えます。
「AIエージェントは、運用フェーズに入った」という記事で書いたとおり、業界全体は「作る」から「動かす」へ移っています。今回の4本柱は、まさに「動かす側」のインフラとして設計されている。だからこそ、見出しは地味でも、エンタープライズの現場では意味が大きい発表でした。
ベンダー一択は終わる。3軸で「自社にとっての1手」を選ぶ
ここからが圧縮段です。4本柱と3ベンダーが同居する世界で、自分たちはどう選べばいいか。判断軸を3つに絞って渡します。
軸1、「自動化したい業務はAPIで繋がるか、それとも画面操作が必要か」。
APIで繋がる業務(SaaS連携・主要システム間連携など)であれば、AnthropicのClaude Code+MCPの活用法で扱ったような組み合わせが速くて安いです。一方、APIで繋がらない業務(古い社内システム・SaaSのUIだけ提供されている画面など)であれば、Copilot StudioのCUAが現時点で最有力候補になります。OpenAI Operatorも比較対象ですが、エンタープライズ向けの監査・認証情報管理は、現状Copilot Studio側が一歩先を行っています。
軸2、「既存スタックがMicrosoft中心かどうか」。
Microsoft 365・Dynamics 365・Power Platformが社内のメインインフラなら、Copilot Studioを選ぶことで、Entra ID連携・Purview監査・Teams統合が即時に効きます。逆にGoogle Workspace中心の企業や、AWSやGCPベースのスタートアップであれば、Copilot Studio単体ではなく、Claude Code+MCPでツール群を直接繋ぐほうが速いです。「自社の既存スタックに重なる選択肢」が正解になりやすい。
軸3、「いま解きたいのは内部業務か、顧客接点か」。
内部業務(経理・人事・営業オペレーション)であれば、CUAとWorkflowsの組み合わせが効きます。顧客接点(コールセンター・FAQ・予約受付)で電話チャネルが鍵なら、北米限定のリアルタイム音声エージェントがロードマップに入ってくる。日本展開を待つあいだに英語圏のテンプレートで設計を済ませておくのは、準備として十分に成立します。
3つの軸で「自社の今の状況」をプロットすれば、4本柱のうちどれから着手すべきかが見えてきます。「全部GAになったから全部やる」ではなく、「最初の1つに絞る」が、圧縮段のゴールです。
僕の感覚では、日本企業の多くが現時点で取れる最短ルートは、「Microsoft 365を既に使っていて、APIのない社内システムに毎日転記しているなら、Copilot Studio CUAをまず触る」です。Microsoft 365を使っていない、または社内システムがAPI化済みなら、ClaudeのComputer Useを直接使ったほうが速い。これは、ベンダーへの好き嫌いではなく、業務構造から逆算した判断です。
「AIを使っているだけでは足りない」という記事でも書きましたが、AIは「使う」より「組み込む」フェーズに入りました。組み込みフェーズでは、ベンダー対立に巻き込まれず、「自分の業務にとってどれが速いか」だけを見るのが、結果的にいちばん早く成果が出ます。
今週の1手。7日以内にできる3アクション
最後に、ここまでを読んで「で、結局僕は今週何をすればいいの?」と思った方のために、7日以内に終わる3アクションを置きます。

STEP1、触る。Copilot Studioのトライアル枠で、CUAを1本作る(30分)。
Microsoft 365 Copilotの試用版環境がある方、またはCopilot Studioの無料試用が利用できる方は、まずCUAエージェントを1本作ってください。題材は何でも構いません。「社内の経費精算サイトに、Excelの行を1件転記する」レベルで十分です。CUAの実体は、画面を見て、クリックして、入力するロボットです。何を触らせると気持ちよく動くのかは、自分の手で確かめるのが最速の理解になります。
ここで重要なのは、いきなり業務クリティカルな対象を選ばないこと。失敗していい題材で、まず「動く感覚」を掴むのが目的です。
STEP2、動かす。既存業務の1タスクをUI自動化で再現する(2時間)。
STEP1で慣れたら、自分の業務の中から「毎日・毎週やっているUI操作」を1つ選び、それをCUAに置き換えてみます。注文受付メールから情報を抜いてCRMに入力する、月初に複数SaaSのレポートをダウンロードしてフォルダに集める、など、小さくて再現性のあるものが向いています。
このSTEP2が終われば、CUAが「使い物になるか・ならないか」の感覚値が手元に残る。資料を読むより、これを2時間やったほうが、社内議論で説得力のある言葉が増えます。
STEP3、測る。5 Copilot Credits/stepの実コストを、1週間で集計する(毎日5分)。
CUAは1ステップあたり5 Copilot Creditsの課金で動きます(Microsoft公式発表)。STEP2で再現したタスクを1週間、毎日動かして、どのくらいのCredit消費になるかを記録します。これが、自社で本格導入する際の「1業務あたりコスト」の根拠データになる。
毎日5分の集計で、1週間後には「この業務をCUAに置き換えると月いくらかかるか、人件費換算でいくら浮くか」の試算が手元に揃います。経営陣や情シスとの会話が、「凄そう」から「ROIで何ヶ月で回収できる」に変わります。
3つともやって、合計で2時間半+毎日5分。これが「Copilot Studio CUAがGAになりました」というニュースを、自分の仕事の中で意味のあるものに変える、いちばん早いやり方です。
まとめ。「どこのAIを使うか」より「何にどれを使うか」
要点を整理します。
- 2026年5月13日、Microsoft Copilot StudioのComputer-using agents(CUA)が一般提供開始(GA)になった
- GAビルドの搭載モデルは、OpenAI CUAとClaude Sonnet 4.5の2種類。MicrosoftがAnthropic製モデルを自社の基幹機能で公式採用した
- 同時にWorkflows(Early Release)、リアルタイム音声エージェント(北米GA)、Work IQの拡張(REST/CLI/MCP対応)も発表され、Copilot Studioが「AIエージェントの基幹インフラ」として商用化された
- 業界の見立ては「Claude vs OpenAI vs Microsoft」から「Copilot Studioという1つの製品で3社モデルが同居運用される時代」へ移った
- 自社の選び方は3軸で絞り込む:APIで繋がるか、既存スタックがMicrosoft中心か、内部業務か顧客接点か
- 今週の1手は3ステップ。CUAを1本触り(30分)、業務を1タスク再現し(2時間)、1週間コストを測る(毎日5分)。ROIの根拠データが手元に揃う
業界の見出しは「対立」を煽りがちです。実際の現場は、もうそこを通り過ぎて、「どれを、どこに、どう組み合わせるか」を毎日試している段階に入っています。
AIを使わない理由は、ないです。同時に、「どれか1社のAIに賭けないと損をする」という不安も、もう必要ありません。同居運用が標準になる世界では、ベンダーを選ぶ前に、まず自社の業務を1つ動かしてみる方が、確実に次の一歩に近づきます。
Copilot Studio CUAの試用は、今日から始められます。30分でいいです。やった人だけが、次のステージに行けます。

AIを使いこなせない方は、この先どんどん差がつきます。僕はAIエージェントを毎日動かして、壊して、直して、また動かしてます。そういう泥臭い実践の記録をここに書いてます。理論は他の方にお任せしました。僕は動くものを作ります。朝5時に起きてウォーキングしてからコードを書くのがルーティンです。


