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Claude Code全社展開、KAGが設計した部署別活用マップ

KDDIアジャイル開発センターが全部署にClaude EnterpriseとClaude Codeを導入。経営層・HR・デザイン・営業マーケの4部署別活用パターンを読み解き、中規模企業が次の1手を決める判断軸を整理する。

この記事でわかること

  • Claude Codeの料金や導入論点が、いまどこまで整理されているか
  • 自分の立場なら、どのプランや導入段階を見ればいいか
  • 次に読むべき関連記事が、料金・使い方・全体像のどこにあるか
Claude Code全社展開、KAGが設計した部署別活用マップ
目次

2026年6月1日、KDDIアジャイル開発センター(KAG)がClaude EnterpriseとClaude Codeを全社導入すると発表した。

開発部門だけではない。経営層、HR、デザイン、営業・マーケ。全ての部署・職種が対象だ。

この発表を読んで、最初に感じたのは「フェーズが変わった」という感覚だった。Claude Codeはエンジニアのツールだと思っていた人は多い。KAGがその前提を壊した。

KAGの全社展開発表を部署別に読み解き、「自社では何番から着手するか」の判断軸を整理する。

この記事で分かること

  • KAGが全部署に導入した4つの活用パターン(経営層・HR・デザイン・営業マーケ)
  • コードが書けない部署でもClaude Codeが機能する理由
  • 中規模企業が「どこから着手するか」の判断軸
  • 全社導入の前に最初の1手として選ぶべき部署

エンジニアだけが使うツール、という前提が変わった

Claude Codeが急速に広がっている。

JetBrains調査(2026年4月公表)では、Claude Codeの採用率が9ヶ月で6倍になった。Claude Code 6倍急伸、JetBrains調査が示す転換点で整理したように、GitHub Copilotの成長が鈍化するなかで、Claude CodeとCursorが急速に存在感を増している状況だ。

ただ、その広がりは主に開発者の話だった。コードを書かない人には関係がない。そう感じている人がまだ多い。

KAGはその前提を崩した。

KDDIアジャイル開発センターは、KDDIグループのDX・アジャイル開発を担う子会社だ。エンジニアが中心の組織でありながら、今回の発表では全ての部署・職種でClaude Codeの積極的な活用を始めたと表明した。「開発部だけではなく、経営層、HR、デザインチーム、営業・マーケチームなど全ての部署・職種」という表現が使われている(KAGプレスリリース、2026年6月1日)。

「AIネイティブ組織」という言葉は最近よく聞く。ただ、多くの企業でその実態は「一部のエンジニアや先進的な社員がAIを使っている」にとどまっている。KAGが目指しているのは違う。全員が、日常業務でClaude Codeと協働している状態だ。

なぜ今、全社なのか。

背景には、Claude Codeの「自然言語でコードを動かせる」という特性がある。プログラミングの知識がなくても、日本語で指示すればClaude Codeがコードを生成し、データを処理し、ダッシュボードを出力してくれる。この特性が「開発者のツール」という枠を超えさせた。

KAGは2023年ごろからAI活用を積み上げてきた組織だ。試行錯誤を重ねた結果として、今回の全社展開に踏み切ったと読める。「やってみたら全員が使えた」という実証が先にあって、発表が後からついてきた形だと思う。

僕自身、Claude Codeを使い始めた当初は「自分もコードを書けないのに使えるのか」という不安があった。実際に動かしてみると、日本語で「このデータをグラフにしたい」と伝えるだけで処理してくれる。コードを書く必要はなかった。KAGが示しているのは、その体験を組織全体に広げた姿だ。


4部署の活用パターンを読む

KAGのプレスリリースには、部署別の活用イメージが具体的に書かれていた。4部署を順に読んでいく。

4部署別Claude Code活用マップ

経営層:シミュレーションをエンジニア不要で動かす

経営層の活用は、データ統合とシミュレーションだ。

これまで経営判断に必要なシミュレーションや分析は、エンジニアに依頼するか、Excelで手動処理するしかなかった。KAGでは経営層がClaude Codeに直接、社内文書や構造化データを渡し、分析やデータ検証を実行させる。

「エンジニアを介さずに」という部分が重要だ。経営のスピードが、エンジニアのリソース状況に左右されなくなる。

最初は「経営層がコードを書くの?」と思うかもしれない。違う。書かなくていい。「このデータでこういうシミュレーションをしたい」と日本語で伝えるだけで、Claude Codeが処理する。指示するのは人間、実行するのはClaude Codeという役割分担だ。

経営判断のサイクルが速くなる。仮説を立て、データで検証し、また仮説を立てる。このループをエンジニアの空きを待たずに自分で回せることが、変化の実体だ。これが経営層にとっての最大の変化だと思う。

HR:ピープルアナリティクスを社内に内製する

HRの活用は、採用・エンゲージメント分析の自動化だ。

匿名化したエンゲージメントスコアや採用データのトレンドをClaude Codeで分析し、評価プロセスを自動化する。「ピープルアナリティクスを社内に内製する」という表現が使われていた。

ピープルアナリティクスとは、人事データを分析して組織・採用・育成の意思決定に活かす手法のことだ。以前は大手か専門ツールを入れた組織にしかできなかった。Claude Codeと社内データがあれば、HR担当者が自分で分析を回せる。

これはコスト削減だけの話ではない。「自分たちのデータで自分たちの問いに答えられる」という組織力の変化だ。

外部コンサルに依頼していた分析を内製化すると、スピードが変わる。「来月の採用状況どうなってる?」という問いに、翌日の午前中には答えが出せる。HR担当者が自分のペースでデータを動かせるようになると、意思決定の質も変わってくる。

営業・マーケ:ダッシュボードを自律的に作る

営業・マーケの活用は、データ分析とレポート自動化だ。

過去の実績データやDX課題データをClaude Codeで分析し、Webアクセスログ解析やダッシュボード作成を自動化する。発表では「自律的に」という言葉が使われていた。

「自律的に」の意味は、担当者がその都度エンジニアや分析担当に依頼せず、自分でデータを動かせるということだ。マーケ担当者が月次レポートを自分のペースで更新し、施策の効果を即日確認できる状態が想定されている。

「データを見る」から「データを自分で動かす」への転換だ。

これはマーケターとしての僕が一番共感する部分だ。施策を打った翌日に「昨日のキャンペーン、CVRどう動いた?」と確認したい場面がある。従来はGoogleアナリティクスを開き、データを加工するプロセスを毎回繰り返すしかなかった。Claude Codeに「昨日のキャンペーンの効果を先週比で出して」と伝えれば処理してくれる。

デザイン:プロトタイプのリワークを減らす

デザインの活用は、プロトタイプ精度の向上だ。

AIとデザインデータを連携させ、実装イメージに近い状態でプロトタイプを出す。リワークが減り、エンジニアとの合意がとれるまでの時間も短くなった。

デザインとエンジニアの間にあるコミュニケーションロスは、多くの開発現場で起きている問題だ。「デザインで意図していたことと、実装されたものが違う」という経験は、誰でも一度はある。Claude Codeでデザインデータを実装に近い形で処理することで、このギャップが縮まる。


4部署のパターンを通して、共通している軸が見えてくる。「人間が判断し、Claude Codeが処理する」という役割分担だ。エンジニアだけが使うのではなく、各部署の担当者が自分の業務ドメインでClaude Codeを道具として使いこなす。これがKAGの全社展開のコアだ。


全社展開の前に何があったか。プロセスを逆算する

発表を読んで気になったのが、「どうやってここまで来たか」だ。

KAGはただ「全社でClaude Codeを使おう」と言って展開したわけではないはずだ。全社展開には必ず準備のプロセスがある。発表内容と業界の知見から、そのプロセスを逆算してみた。

Claude Code全社展開プロセス

パイロット部署の選定から始まっている

全社展開の前に、どこかでパイロットをやっている。KAGの場合、エンジニア組織がその役割を担ったと推測できる。Claude Codeはエンジニアが最初に試しやすいツールだからだ。

パイロット部署の選び方には原則がある。業務が明確で、成果が測れて、AI活用のリテラシーが比較的高い部署が適している。全社展開を決めるには「うまくいった」という実績が先に必要だ。「実績なき全社導入」はツールの墓場になる可能性が高い。まずどこかで成功事例を作ることが、展開判断の前提になる。

ユースケースが部署別に言語化されている

パイロットで手応えを得たら、次は他部署のユースケースを設計する段階になる。「うちの部署ではClaude Codeで何ができるか」を、各部署の担当者が描けるようにする必要がある。

KAGの発表が部署別に具体的だったのは、この設計をすでに終えていることを示している。「経営層はシミュレーション」「HRはピープルアナリティクス」という形で、各部署のユースケースが言語化されているのが特徴だ。ユースケースが言語化されていない状態でツールを配ると、「何に使えばいいかわからない」という反応が返ってくる。

ガバナンス設計が土台になっている

全社展開で避けられないのが、セキュリティとデータ管理だ。「社内の機密データをClaude Codeに渡していいのか」「どんなデータを入力してはいけないか」というルール設計が必要になる。

Claude Enterpriseには、セキュリティとアクセス管理の仕組みが含まれている。KAGがClaude Enterpriseを選んだ理由の一つはここにある。個人プランではなくEnterpriseプランを選ぶことで、組織全体のデータガバナンスをカバーできる。ガバナンスなき展開は、後から問題が出たとき全社停止になりかねない。

知見の横展開で持続させる

全社展開後、KAGは「KAG AI Week」のような取り組みで知見を組織内で共有する計画を持っている。これが重要だ。ツールを配るだけでは使われない。活用事例を共有し「自分もこう使える」と気づいてもらう場が必要になる。

KAGが得た知見は、KDDIグループや顧客企業のDX支援にも活かされる予定だという。一社の実践がグループ全体に広がる設計になっている。


「うちはKAG規模ではない」と思う前に

ここで、多くの人が感じる反応がある。「KAGはIT企業だから特別だ」「大企業だから実現できた」という距離感だ。

この反応は、半分正しくて半分間違っている。

正しい部分はある。KAGはAI活用のリテラシーが高い組織だ。エンジニアが中心にいて、技術的なサポートが得やすい。これは一般企業には真似しにくい条件だ。

間違っている部分がある。Claude Codeは、技術力がなくても動かせるように設計されている。KAGが示したのは「エンジニアがいれば全社展開できる」ではなく、「非エンジニア部署でも日本語でClaude Codeを動かせる」という事実だ。

Claude Code活用範囲の変革

自社の規模別に、何から始めるかを整理した。

50人以下の組織

まず1人に試してもらう。最も業務ボトルネックを抱えているポジション(多くの場合、経営者かマーケ担当)がパイロットになる。Claude Proから始めて、「これは使える」と判断したらTeamプランへ移行する流れが現実的だ(Claude Pro月額20ドル・2026年6月Anthropic公式pricing参照)。

初期コストを抑えながら実績を作れる。1人の成功事例が生まれると、社内の展開判断は早い。まず試した人の言葉が、一番の社内説得材料になる。

50〜300人の組織

2〜3部署でパイロットを走らせ、成功事例を作る。パイロット部署の選び方が重要だ。「業務が明確」「成果が測れる」「AI活用に前向きな担当者がいる」の3条件が揃う部署を探す。KAGのケースで言えば、営業・マーケかHRから入るのが比較的やりやすい。

成功事例が1つできると、次の部署への展開が早くなる。「あの部署でうまくいったなら」という説得材料が社内に生まれるからだ。

300人以上の組織

セキュリティとガバナンス設計が先に必要になる。Claude Enterpriseプランを前提に、データ管理のルールを明文化してから展開する。Claude Code法人導入の最初の30日で書いたように、最初の30日でガバナンスの枠組みを決めることが全社展開の成否を分ける。

どの規模でも共通しているのは、「ツールを配る前に、ユースケースを設計する」ことだ。Claude Codeをインストールして「使っていいよ」だけでは、誰も使わない。「あなたの業務では、こう使う」という具体的なシナリオが先に必要だ。


今週から動くための3つのアクション

KAGの発表が示しているのは、Claude Codeが「開発者の道具」から「組織の道具」になったということだ。

Claude Code法人導入が「製品」になった背景で書いたように、法人向けの市場はここ数ヶ月で急速に整備されてきた。KAGのような実名・実規模の先行事例が出てきたことで、「うちも検討できる」という判断がしやすくなっている。

今が「見ているだけ」と「動き始める」の分岐点だと思う。

KAGの全社展開から学べる具体的な3アクションを書いておく。

アクション1: 自社の「最初の部署」を今週決める

「まずどこでパイロットするか」を今週中に決める。全社展開の前に、最初の成功事例を作る部署が必要だ。KAGの事例を参考に、「業務が明確・成果が測れる・前向きな担当者がいる」の3条件で選ぶ。候補が複数あるなら、最も「失敗したときのリスクが小さい」部署から始めることをすすめる。

アクション2: その部署の「1ユースケース」を書き出す

「Claude Codeで何ができるか」を考えるより、「この業務の、このボトルネックを解消したい」という問いから始める。月次レポートの作成、採用データの集計、プロトタイプのレビューなど、具体的な業務を1つ選ぶ。1ユースケースが明確になれば、試せる。

アクション3: Claude Proで小さく動かす

Claude Proで実際に試してみる。「本番環境で使う前に、まず試す」が全社展開の前提だ。1人が2〜4週間試して「使える」と判断できたら、パイロット部署への展開を判断する。費用感が心配ならClaude Code 料金、3シナリオで試算したが参考になる。

KAGが設計したのは、AIネイティブ組織への変革プロセスだ。その地図を参考に、自社の「最初の一歩」を今週中に動かしてほしい。


まとめ

KDDIアジャイル開発センターのClaude Enterprise全社導入は、3点で重要だ。

「エンジニアのツール」という枠が外れた。 経営層・HR・営業マーケ・デザインの4部署が対象になった。Claude Codeは自然言語で動かせるため、プログラミングスキルが前提ではなくなっている。コードを書けない人でも、日本語で指示するだけで業務データを処理できる。

部署別のユースケースが言語化されている。 発表内容には各部署が何をClaude Codeにやらせるかが具体的に書かれていた。「試してみよう」ではなく「設計して動かしている」段階の話だ。ユースケースを先に設計してから展開する、というプロセスがKAGの事例から読み取れる。

先行事例として、自社展開の地図になる。 KAGの展開プロセス(パイロット、ユースケース設計、ガバナンス、全社展開の順)は、規模の違う企業でも応用できる。部署の数や従業員数は違っても、基本的なプロセスの順序は変わらない。

「AIネイティブ組織」を目指す企業にとって、KAGが一つの地図を示した。その地図をどう使うかは、自分たちの判断にかかっている。

今週、最初の部署を決める。全社展開の起点は、そこだ。

ナギ
Written byナギAI Practitioner / 経営者の相談役

AIを使いこなせない方は、この先どんどん差がつきます。僕はAIエージェントを毎日動かして、壊して、直して、また動かしてます。そういう泥臭い実践の記録をここに書いてます。理論は他の方にお任せしました。僕は動くものを作ります。朝5時に起きてウォーキングしてからコードを書くのがルーティンです。