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訪日客5年ぶり減、上半期2,108万人でも消費額2.5兆円は増加

日本政府観光局が2026年7月15日に発表した6月推計値は314万8,600人、前年同月比-6.8%。1〜6月の上半期累計は2,108万4,800人で前年同期比-2%となり、コロナ禍以来5年ぶりの前年割れとなった。一方で観光庁が同日発表した4〜6月の訪日外国人旅行消費額は2兆5,096億円、1人あたり消費額は24万4,457円で前年より増えている。客数が減っても消費額が増える現象の中身と、家計目線での意味を整理した。

この記事でわかること

  • 本文に入る前に、まず押さえるべき結論
  • 読後の行動判断が、ここからどう変わるか
  • 次に読むべき関連記事の入口
目次

先週、旦那の同僚のマイクさん(アメリカ出身)から「今年の夏、家族で京都に行くんだけど、去年よりチケット取りやすかったよ」と聞いた。中国からの団体ツアーが減って、個人旅行の予約が前より通りやすくなったらしい。

その話を聞いた翌日、日本政府観光局(JNTO)が2026年7月15日に6月の訪日外客数を発表した。314万8,600人、前年同月比マイナス6.8%。そして1月から6月までの上半期累計は2,108万4,800人、前年同期比マイナス2%だった。

このマイナス2%という数字、実はコロナ禍が明けてから初めての上半期前年割れだ。5年ぶりのマイナスというわけだ。「訪日客がまた増えた」というニュースに慣れていた私にとって、これは意外な転換点だった。

でも同じ7月15日、観光庁は4月から6月の訪日外国人旅行消費額が2兆5,096億円、前年同期比プラス0.2%だったとも発表している。1人あたりの消費額は24万4,457円で、こちらはプラス3.3%だ。

客数は減っているのに、消費額はむしろ増えている。この一見矛盾した現象の中身を、数字で追いかけてみたい。広告代理店時代からの癖で、こういう「あれ、辻褄が合わない」という数字を見ると、つい深掘りしたくなる。今日は家計簿アプリを開く前に、この謎を先に解いておきたい。

訪日客数が5年ぶりに前年割れした理由を数字で確認する

まず全体像を整理しておきたい。6月単月は314万8,600人で前年同月比マイナス6.8%。JNTOの発表によると、一部市場でのフライト減便や台風による欠航がマイナス要因となった一方、連休や学校休暇に合わせた需要が下支えしたという。

上半期の月別推移を見ると、マイナス幅が徐々に広がっている。4月はマイナス5.5%、5月はマイナス3.6%、6月はマイナス6.8%だ。一時的な落ち込みではなく、じわじわと下がってきている流れに見える。

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この積み重ねの結果が、上半期累計2,108万4,800人、前年同期比マイナス2%だ。時事通信や日本経済新聞など複数の報道機関が、この上半期のマイナスをコロナ禍以来5年ぶりと位置づけて報じている。

5年ぶりという言葉の重みは、数字を並べてみるとよくわかる。コロナで訪日客がほぼゼロになった期間を除けば、ここ数年の上半期はずっと前年を上回り続けてきた。その連続記録が、今年ついに途切れたことになる。

私は過去にもJNTOの月次データを何度か記事にしてきた。4月時点ではマイナス5.5%、5月時点ではマイナス3.6%と、単月ごとの数字を見ていたときは「一時的なブレかもしれない」と思っていた部分がある。上半期の累計という形でマイナスがまとまって出てくると、単月のブレとは違う重みを感じるようになった。

コロナ禍で訪日客がほぼゼロになった年を除けば、上半期の前年割れという事態そのものが久しぶりだ。ここ数年は毎年のように「上半期として過去最高」という見出しが続いていたので、今回の報道はその連続記録が途切れた瞬間を切り取ったものだと言える。

2025年の上半期は2,151万人前後だったと報じられている。そこから約43万人少ない2,108万4,800人にとどまったのが今年の数字だ。1年で数字が半分になったわけではなく、これまでの伸びが一段落した、というくらいの落差だと私は受け止めている。

大きな下落というより、右肩上がりが続いていた線が初めて水平か、わずかに下向きになったイメージに近い。グラフにすると小さな変化に見えても、5年間途切れなかった記録が止まったという意味では、節目のニュースだと思う。

中国マイナス56%だけでは説明できない、韓国と台湾の伸び

マイナスの主因は、はっきりしている。中国だ。上半期累計で205万8,200人、前年同期比マイナス56.4%。6月単月でも34万700人、マイナス57.3%と大きく落ち込んでいる。

中国からの訪日客がここまで減った背景には、2025年11月に中国政府が日本への渡航自粛を呼びかけたことが大きい。台湾有事をめぐる国会答弁が発端になったと複数の媒体が報じている。これを受けて中国系の旅行会社が日本行きツアーの募集を停止し、成都-札幌便をはじめ一部路線の運休・減便も起きたと報じられている。

団体ツアーの催行そのものが減っている、という話も周辺情報として耳にする。旅行会社が組む定番コースの本数が絞られれば、当然その分の客数は積み上がらない。ここは私自身が一次資料で確認できていないので、断定は避けたい。

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ここで見落としてはいけないのが、中国以外の市場の動きだ。上半期累計で韓国は567万5,100人、前年同期比プラス18.6%。台湾は397万2,200人、プラス20.9%。どちらも国・地域別で最多クラスに入っている。

6月単月だけを見ても、韓国は78万7,100人でプラス7.8%、台湾は67万400人でプラス14.6%、米国は35万4,500人でプラス2.7%。いずれも6月としての過去最高を更新した。台湾・韓国・米国・インドなど15市場が6月として過去最高を記録している。

つまり「訪日客全体が落ち込んでいる」という見出しだけでは、実態の半分しか伝わらない。中国という一つの巨大市場が急減しているあいだも、その他の市場は淡々と過去最高を積み上げ続けている。全体のマイナスは、中国の落ち込み幅がそれ以外の伸びを飲み込んでしまった結果だ。

中国から韓国・台湾への単純な入れ替わりと言い切るのは、少し乱暴だとも思う。地理的な近さや距離、円安の受け止め方は市場ごとに違う。それでも、上半期を通じて「特定の市場が減って、別の市場が過去最高を更新している」という構図自体は、数字の上で確認できる事実だ。

なぜ韓国と台湾がここまで伸びているのか。円安が続いていることと、両地域から日本への航空便がここ数年で増便されてきたことが背景にあると私は見ている。ここも公式統計で因果関係が説明されているわけではなく、あくまで私の解釈だ。

週末を使って気軽に日本へ来られる距離感も、韓国・台湾からの旅行者が増え続ける理由の一つだと感じている。数日の弾丸旅行がしやすい市場ほど、為替や航空便の変化にすぐ反応するのだろう。

客数は減ったのに消費額は増えた、その中身を読む

ここからが今回一番おもしろいと思ったところだ。訪日客数はマイナス2%なのに、観光庁発表の4〜6月訪日外国人旅行消費額はプラス0.2%の2兆5,096億円。1人あたり消費額はプラス3.3%の24万4,457円だった。

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なぜこんなことが起きるのか。観光庁が同時に発表した費目別の内訳を見ると、宿泊費が37.0%、買物代が26.8%、飲食費が21.7%を占めている。買物代よりも宿泊費の比率のほうが大きい。「爆買い」という言葉に象徴されたモノ消費から、宿泊や体験にお金をかけるコト消費へ、訪日客全体の使い方が変わってきていることを裏づける構成だ。

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もう一つ見逃せないのが、国籍・地域別の消費額ランキングだ。客数では前年同期比マイナス56.4%まで落ち込んだ中国だが、消費額のランキングでは依然として3位につけている。1位が米国、2位が台湾、3位が中国、4位が韓国、5位が香港という順だ。人数は大きく減っても、来日した一人ひとりの消費単価そのものは、依然として高い水準を保っているということになる。

マイクさんが「チケットが取りやすかった」と言っていたのも、この客層の変化と重なる部分がある。あくまで一つの体験談だが、団体ツアー枠が減って個人旅行者にとって動きやすい状況が生まれている、という肌感覚の裏付けにはなりそうだ。私たち家族で旅行に行く側からすると、これは地味に嬉しい変化だと感じている。

1人あたり消費額24万4,457円という数字は、4人家族で日本を訪れれば単純計算で約98万円になる規模だ。訪日客の数そのものより、こうした1人あたりの支出規模を追うほうが、地域経済への影響は見えやすいと私は感じている。

宿泊費や体験プログラムの単価が高いサービスほど、この流れの恩恵を受けやすい。逆に、安さだけを売りにした団体向けの施設は、客数の減少をそのまま売上減として受け止めることになりそうだ。

副業で小さな宿やゲストハウスを運営している人にとっても、この構図は他人事ではない。団体ツアー向けの薄利多売から、個人旅行者向けの単価アップへと舵を切れるかどうかで、上半期の数字への向き合い方は変わってくるはずだ。

個人旅行者が増えると、日本に来たい人の景色はどう変わるか

うちの旦那のように海外から日本に来て暮らしている人にとっても、この構図は無関係ではない。団体ツアーの客が減れば、観光地の混雑具合や、飲食店・宿の予約の取りやすさは変わってくる可能性がある。

マイクさんの「チケットが取りやすかった」という体験談は、この変化の一例だと思う。人気の観光地に住んでいる人ほど、外国人観光客の数そのものより「どんな旅行スタイルの人が来ているか」のほうが、日々の暮らしへの影響として実感しやすいはずだ。

これから日本への移住や長期滞在を考えている人にとっても、示唆はある。訪日客数が減っているからといって、日本という行き先の人気が落ちているわけではない。韓国・台湾・米国・インドといった市場では、むしろ過去最高を記録し続けている。

数字だけを見て「今は訪日客が減っている時期」と早合点しないほうがいい。中身を見れば、特定の市場の急減が全体を押し下げているだけで、個人旅行というスタイル自体は着実に広がっている年だと私は捉えている。

旦那が来日したばかりの頃、日本語も分からず、役所の手続きや病院の受診方法に困っていたのを思い出す。あの時に比べると、今は個人旅行者向けの英語対応や多言語サービスがずいぶん充実してきた。数字の裏側で、こういう受け入れ環境の変化も静かに進んでいるはずだ。

この変化が私たちの家計にどうつながるか

数字を追うだけで終わらせず、家計にどう関わるかまで考えてみたい。訪日客の消費額が増えているということは、ホテル・飲食・小売といったインバウンド関連の産業には、客数の落ち込みほど深刻な影響が出ていないということだ。

旦那の会社は観光関連ではないけれど、取引先に宿泊業や飲食業が何社かある。中国客向けの免税店ビジネスをしている知人は「客数は減ったけど、1人あたりの買い物額はむしろ上がった気がする」と話していた。統計と現場の肌感覚が一致しているのを聞くと、数字の信頼性が増す気がする。

中国依存が高かった業種にとっては、話が違ってくる。爆買い型の免税店や、団体ツアー向けのバス・ガイド事業は、客数そのものの減少をまともに受ける立場だ。同じ「インバウンド関連業」でも、どの客層に依存していたかで明暗が分かれている状況だと言える。費目別で見ても、買物代の構成比は26.8%に下がっている。爆買い頼みで免税店を運営してきた業種ほど客数減の影響を直接受けやすい。一方で宿泊費37.0%という比率の大きさを考えると、ホテルや旅館業への恩恵は相対的に大きいと言えそうだ。

家計への影響という意味では、インバウンド消費が全体として底堅いなら、観光地の物価や宿泊料金が急に下がることは考えにくい。私たちが京都や東京に旅行に行くときの体感的なお得感は、当面大きくは変わらないだろうと見ている。

国内旅行を計画するなら、訪日客の減少をあてにした値下がりを期待するより、繁忙期を避ける・平日を選ぶといった昔ながらの工夫のほうが、確実にお得感につながると思う。

もう一つ気になるのは雇用の面だ。1人あたり消費額が増えている市場向けのサービス、例えば個人旅行者向けの少人数ガイドや体験プログラムには、これから需要が伸びる余地がある。旦那にも「英語ガイドの仕事、意外と狙い目かもね」と冗談半分で話したくらいだ。

今わかっている範囲でよくある疑問に答える

訪日客数が減っているのに、なぜ物価や宿泊料金は下がらないのか。この記事で見てきたとおり、消費額全体はむしろ増えているため、値下げ圧力がかかりにくい状況だと考えられる。ここは私の解釈であり、今後の推移を見ないと断定はできない。

上半期の前年割れは、下半期も続くのか。現時点で確認できているのは1月から6月までの数字だけだ。7月以降のデータはまだ発表されておらず、この記事では推測を根拠にした断定を避けたい。

中国からの訪日客は今後どうなるのか。2025年11月から続く渡航自粛の呼びかけがいつまで続くのかという見通しについては、今回確認できた一次情報の範囲では判断材料が見つからなかった。ここは今後のJNTO発表を待ちたい。

観光庁の消費額データと、JNTOの客数データは同じ調査なのか。両者は発表元も調査方法も異なる別々の統計だ。客数はJNTO、消費額は観光庁の発表であることを、混同しないよう改めて整理しておきたい。

下半期に向けて見ておきたい3つの数字

ここまでの上半期の動きを踏まえると、下半期を見るときに意識したいポイントが3つある。

1つ目は、中国のマイナス幅が縮まるかどうかだ。マイナス56%台がこのまま続くのか、それとも下半期に反転の兆しが出るのか。ここが変われば、全体の増減率も大きく動く。

2つ目は、韓国・台湾・米国の伸びが年間を通じて続くかどうかだ。上半期は好調でも、下半期に息切れする可能性はゼロではない。過去最高の更新が一時的なものか、構造的な変化なのかを見極めたい。

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3つ目は、1人あたり消費額の増加が続くかどうかだ。上半期はプラス3.3%だったが、この傾向が下半期も続くなら、客数の増減だけでインバウンド経済を語るのは不十分になっていく。

今年は日本ビザ値上げ10日後の訪日客新地図でも書いたとおり、訪日のコストや制度の面でも変化が重なっている。客数・消費額・制度、どの角度から見ても、今年は「量から質へ」という言葉がぴったりくる年になりそうだ。

ぶっちゃけ、ニュースの見出しだけを見ていると「訪日客が減った」という一言で終わってしまう。実際に数字を並べてみると、減っているのは中国という一つの市場が中心で、それ以外の市場は過去最高を更新し続けているというのが実態だった。

5年ぶりの上半期マイナスという事実は事実として受け止めつつ、その中身まで見ないと、インバウンド経済の本当の姿は見えてこない。私は今後もJNTOと観光庁の発表を追いかけて、この「量から質へ」の流れがどこまで続くのか、数字で確認していくつもりだ。

家計簿アプリで毎月の支出を管理している私にとって、大きな数字も結局は「内訳」を見て初めて意味が分かる。訪日客数2,108万人という数字も同じで、内訳を分解して初めて、自分の暮らしにどう関わるかが見えてきた。

マイクさんの家族が今年の夏、京都でどんな旅行をしてくるのか。今度会ったら、感想も聞いてみようと思う。次にJNTOが7月の推計値を発表するタイミングでも、この「量から質へ」の変化が続いているかどうかを確認してみたい。

サクヤ
Written byサクヤLifestyle Realist

ぶっちゃけ、続かない改善は意味がないんです。家計も家事も、楽になるか・続くか・家族に返ってくるか。その3つでしか見ません。AIも同じ。暮らしの現場で使える形に落ちるかどうかで判断しています。