個人の「視点」が武器になる、AI量産時代のブランド戦略3つ
HubSpotの2026年調査でマーケター61%が「AIによる最大の激変」と回答。視点のない発信が埋もれる理由と、今日からできる言語化ステップを届ける。
この記事でわかること
- 本文に入る前に、まず押さえるべき結論
- 読後の行動判断が、ここからどう変わるか
- 次に読むべき関連記事の入口
「AIで書いた記事、なんか埋もれていく気がするんですよね」ってDMが来た。相手はコンサル先の経営者だ。SNSでもブログでも、AIに下書きを頼む人がこの数年で一気に増えた。それ自体は悪いことじゃない。あたしも毎日AIを使ってる。
でも、HubSpotが2026年に出した最新調査を見て、あたしは背筋が伸びた。世界のマーケター1,500人以上に聞いた結果、61%が「AIによる変化は、ここ20年で一番大きい」と答えている。ここまで多くの人が「激変」だと感じてる調査結果は、そうそうない。
じゃあ、この激変の中で埋もれる人と、残る人を分けるものは何か。答えは、AIの使い方そのものじゃない。あなたにしかない「視点」があるかどうかだ。視点の中身は難しくない。自分の失敗、業界の当たり前への反対意見、自分だけが見た数字。この3つのどれかを言葉にできれば十分だ。今日はその視点を、実際にどう言語化して発信に落とすかまで一緒に見ていく。
AIが同じ言葉を吐き出す時代に、なぜ個人の「視点」だけが残るのか
まず断っておきたい。あたしはAI否定派じゃない。むしろ逆で、AIを使わない理由がないとずっと言い続けてきた人間だ。文章の下書き、リサーチの要約、投稿の壁打ち相手。使える場面はいくらでもある。
問題は使うか使わないかじゃない。同じツールを、似たようなプロンプトで、似たような使い方をする人が増えたときに、何が起きるかという話だ。答えはシンプルで、生成される文章がお互いに似てくる。個性がなくなるんじゃなくて、個性を出す前の「量産された下書き」のまま世に出てしまう。
同じ調査の「AI活用実態」を尋ねた設問では、マーケターの80%がすでにAIをコンテンツ制作に使っていると回答している。75%はメディア制作にも活用していると答えた。ここまで普及すると、AIを使っていること自体はもう差別化にならない。周りの誰もが同じスタートラインに立ってるからだ。
あたしのタイムラインでも、似たような現象が起きてる。同じニュースについて、同じような要約、同じような箇条書き、同じような「まとめ」投稿が何十個も並ぶ日がある。情報としては間違ってない。でも、どれも同じに見えて、結局どれも記憶に残らない。
これは会社のSNS担当者だけの話じゃない。ひとりで発信しているソロプレナー(ひとりで事業を営む人)にも同じことが起きる。AIに「読者向けの投稿を書いて」とだけ頼むと、誰が書いても似たような出力になる。プロンプトを工夫しても、土台になる材料が同じなら、行き着く先も似てくる。
あたしがコンサルの現場でよく見るのは、便利なツールほど個性を消す罠にはまりやすいという構図だ。AIは「それっぽく整った文章」を作るのが得意すぎる。整いすぎているせいで、書いた本人の癖や引っかかりまで一緒に削られてしまう。効率を求めた結果、一番残したかったはずの自分らしさが消える。この逆説に、あたしは何度もクライアントと一緒にぶつかってきた。
だとしたら、何で差がつくのか。あたしの答えはこうだ。AIが吐き出した「平均的に正しい文章」に、自分にしかない事実・失敗・数字を1つ足せるかどうか。これだけで景色が変わる。次の章で、その根拠になっている調査結果をもう少し詳しく見ていく。
HubSpot1,500人調査が示す、マーケターの61%が「激変」と答えた理由
HubSpotは2026年、年次調査「State of Marketing」を公開した。世界1,500人以上のマーケターを対象にした調査だ。ハブスポットはアメリカのマーケティングツール企業で、この調査は業界内で毎年注目される定点観測の1つになっている。
結果はシンプルだけど重い。マーケターの61%が「AIによる市場の変化は、ここ20年で最も大きい」と回答した。ITバブル崩壊、リーマンショック後の消費行動の変化、スマホの普及。そうした大きな転換点を経験してきた業界人の6割以上が、それを上回る変化だと言っている。
同じ調査には「マーケティング最大の課題は何か」という設問もある。33%が「ROI」の測定と答えた。ROIとは投資対効果のことで、かけたお金や労力に対してどれだけの成果が返ってきたかを示す指標を指す。AIで発信の「量」は増やせるようになった。でも、その量が本当に成果につながっているかを測るのが、逆に難しくなっている。

数字を大きくとらえ直すと、こういう構図が見えてくる。ツールの導入率はすでに8割を超えている。にもかかわらず、その効果測定に悩む人が3人に1人もいる。「使ってはいるけど、成果につながっているか自信がない」という状態が、業界全体で常態化しているということだ。
レポートの中で、あたしが一番刺さった一文がある。「AIはもう当たり前の前提であり、差がつくのは誰が使っているかではなく、どう使っているかだ」という指摘だ。使うかどうかを議論する時期は、もう終わった。
「20年で最大」という言葉の重みも、もう少し立ち止まって考えたい。この20年には、検索アルゴリズムの大改定があった。SNSプラットフォームの主役交代も経験した。マーケターにとっての激震は何度も訪れてきた。そのたびにやり方を変えてきた業界人の6割以上が、今回の変化を一番大きいと語る。一過性の流行ではなく、構造そのものが変わったと捉えた方がいい。
じゃあ、どう使えばいいのか。答えはシンプルだ。量で戦うのをやめて、視点で勝負する。次の章で、その視点の中身を具体的に見ていく。
AIコンテンツが「量」で溢れるほど、視点のない発信は埋もれていく
HubSpotのレポートには、同社でマーケティングを率いるKieran Flanagan氏のコメントも添えられている。氏は「AIが生み出すコンテンツの量は、すでに人間が作る量に迫りつつある」という見立てを示し、その多くは「平均的で無難」な内容にとどまっていると指摘した。
Flanagan氏はさらに、「平均的に正しいだけの文章」に読者が反応しにくくなっていくとも述べている。ブランドの発信であっても、AIが作ったとわかった瞬間に意識が離れていく可能性がある、という見立てだ。これは会社の発信でも、個人の発信でも同じ構造で起こりうる。
だからこそレポートは、成長のドライバーが「差別化・信頼・関連性」に移っていると書いている。そのために必要なのが、ブランドの視点だ。英語ではPOV(Point of View)と呼ばれる。その人やその会社が世の中をどう見ているかという立場表明のことを指す。POVがはっきりしているブランドは、AIコンテンツの海の中でも埋もれない。

具体的に何が違うのか。AIが量産する文章は、正しいけど誰が書いても同じになりがちだ。一方、視点のある文章には、その人にしか書けない一次情報が混ざっている。「あたしはこう見た」「うちのクライアントではこうだった」という体験の断片だ。この差は、読んでいる側にはっきり伝わる。
あたし自身、この違いを実感したことがある。同じテーマで投稿を2本作って、片方はAIの下書きをほぼそのまま整えただけ、もう片方は自分の失敗談を軸に書き直した。結果は歴然だった。体験談を軸にした方だけ、コメント欄で「私も同じ経験があります」という反応が続いた。整えただけの方には、ほぼ反応がなかった。
じゃあ、視点って具体的に何を指すのか。答えは、抽象的な個性じゃない。自分の失敗、自分が見た数字、自分だけが立ち会った現場の話。この3つのどれかが混ざっているかどうかで判断できる。次の章で、あたし自身がこれを持てなかった時期の話をする。
会社員時代のあたしが「視点」を持てなかった理由、独立して分かったこと
正直に言う。会社員だった頃のあたしには、視点なんてほぼなかった。マーケティング部門で働いていたけど、会議で意見を言っても「若い女の子の感覚」として軽く扱われた。結局は上司が決めた方向性をなぞるだけの資料を作る毎日だった。
視点がなかったんじゃなくて、視点を出す訓練をされてなかったんだと、今なら思う。会社の看板を背負っている限り、個人の失敗も個人の実感も、資料の中では丸められて消えていく。当たり障りのない、誰が読んでも反論されない文章を作ることが評価される環境だった。
独立して、SNSで自分の名前だけで発信するようになって、初めて気づいた。丸められない失敗談を出したときの方が、圧倒的に反応が良かった。「フォロワーが増えなくて焦った話」「クライアントに断られた理由」。会社員時代なら絶対に外に出さなかった話ほど、読者に刺さった。

なぜそうなるのか、あたしなりに理由を考えてみた。会社員時代の文章は「間違ってないこと」を目指して書かれる。一方、独立してからの文章は「自分にしか書けないこと」を目指すようになった。目指すゴールが変わった瞬間、文章の質そのものが変わったんだと思う。
この構図は、あたしがコンサル現場で見てきたパターンとも重なる。クライアントの投稿を見比べると、会社の看板を背負ったままの当たり障りない文章より、自分の失敗や数字を1つ足した文章の方が、明らかに保存やコメントが伸びている。組織のフィルターがない分だけ、丸めずに出せる情報量が違うからだ。HubSpotの調査が示す「視点が差別化になる」という話は、規模の大きい企業だけの話じゃない。むしろ、組織のフィルターを通さずに発信できるひとり社長やソロプレナーの方が、この土俵では有利だ。誰の許可も取らずに、自分の失敗をそのまま発信できるからだ。
コンサル先でも同じ相談をよく受ける。「会社員の頃の癖が抜けなくて、当たり障りのない投稿しか書けない」という声だ。あたしはいつもこう答えている。会社員時代の書き方は間違っていない、ただ今のあなたに必要な書き方じゃないだけだ。組織の看板がなくなった今こそ、丸めずに出していい。
じゃあ、その視点をどうやって言葉にすればいいのか。答えは、3つの質問に自分で答えてみることだ。今日30分あれば十分にできる。次の章で、その質問を具体的に渡す。
今日30分で、自分の「視点」を3つの質問から言葉にする
視点を持てと言われても、いきなり「あなたの視点は?」と聞かれて即答できる人は少ない。あたしがクライアントに実際にやってもらっている、3つの質問を渡す。今日、30分あればできる。
1つ目の質問。「直近半年で、自分が一番恥ずかしかった失敗は何か」。恥ずかしい失敗ほど、他人には書けない一次情報になる。きれいな成功体験より、こっちの方が価値がある。あたしの場合は「独立初年度、口約束だけで案件を受けて、報酬を一方的に下げられた話」がこれにあたる。
2つ目の質問。「業界の”当たり前”に、あたしは反対したことがあるか」。みんなが正しいと言っていることに、1つでも違和感を持った経験があれば、それが視点の芽になる。あたしの場合は「フォロワー数より投稿頻度の方が大事」という定説に、途中から違和感を持つようになった。反対意見がまだ思い浮かばなければ、今日思い出す作業から始めてほしい。
3つ目の質問。「自分の言葉で、数字を1つ言い切れるか」。「効果があった」ではなく「開始3ヶ月で問い合わせが2倍になった」のように、自分が体験した数字で言い切る。数字がぼやけていると、視点もぼやけて見える。

この3つに答えを書き出すだけで、次にAIに下書きを頼むときのプロンプトが変わる。「この失敗と、この数字を軸にして書いて」と具体的に指示できるようになるからだ。AIが生成する文章の質は、こちらが渡す材料の質にほぼ比例する。材料が変われば、出力も変わる。
じゃあ、これを1回で終わらせず続けるにはどうすればいいのか。答えは、公開前に必ず自分でチェックする仕組みを作ることだ。次の章で、あたしが実際にやっているやり方を渡す。
明日からの投稿に「視点ラベル」を貼り、書く前に自分を疑う仕組みを作る
3つの質問に答えるところまではできても、続かなければ意味がない。あたしがやっているのは、投稿を出す前に自分でチェックする「視点ラベル」という習慣だ。
やり方は単純。投稿を書き終えたら、公開する前に自分に聞く。「この投稿から、失敗・反対意見・数字のどれか1つは入っているか」。1つも入っていなければ、それはAIの下書きのまま出してしまっている合図だ。
あたし自身、忙しい週ほどこのチェックをサボりたくなる。それでも、公開ボタンを押す前の10秒だけは絶対に確保するようにしている。10秒あれば「これ、あたしにしか書けない話が入ってるか」は判断できる。
もう1つ、続けるコツがある。週に1回、自分の投稿を読み返して「視点が入っていた投稿」と「入っていなかった投稿」を分けてみる。反応の良かった投稿の方に、視点が入っていた比率が高いはずだ。この振り返りを1ヶ月続けるだけで、自分の中の判断基準が明確になる。
あたし自身、この振り返りを始めてから変わったことがある。以前は投稿数を増やすことばかり考えていた。今は数より前に、視点が入っているかを先に見るようになった。結果として投稿数は減ったのに、コメントの質は明らかに上がった。
先月、ある週だけ試しにこの習慣を意識的にやめてみたことがある。忙しさを理由に、AIの下書きをほぼそのまま投稿し続けた1週間だ。結果は正直だった。閲覧数は普段とそこまで変わらなかったのに、コメントやDMの数がはっきり減った。読まれてはいるけど、心が動いていない。そう感じた1週間だった。この体験があるから、あたしは今、10秒のチェックを軽視できない。
今日からできることは2つ。1つ、次に投稿を書くときは公開前に10秒だけ視点チェックを入れる。2つ、今週の投稿を1回だけ振り返って、視点があったかどうかを自分でジャッジしてみる。この2つは、どちらも今日中に始められる。
まとめ
HubSpotの2026年調査が教えてくれたのは、AIを使うかどうかの議論はもう終わっているということだ。マーケターの61%が「20年で最大の激変」だと感じ、80%がすでにAIでコンテンツを作っている。使っていること自体は、もう誰の武器にもならない。
差がつくのは、AIが吐き出した平均的な文章に、自分にしかない視点を足せるかどうかだ。失敗、反対意見、数字。この3つのどれかを自分の言葉で言い切れる人が、量産されたコンテンツの海の中で残っていく。
あたし自身、会社員時代は視点なんて持てなかった。組織のフィルターの中では、丸くて当たり障りのない文章しか評価されなかったからだ。独立して、自分の名前で発信するようになって初めて、視点の価値に気づいた。ひとり社長やソロプレナーであることは、この土俵ではむしろ有利に働く。
今日からできることは2つ渡した。投稿前10秒の視点チェックと、週1回の振り返り。どちらも難しいことじゃない。完璧な視点を最初から言葉にできなくていい。今日、1つの質問にだけ答えてみてほしい。あたしも今夜、自分の投稿を読み返すところから、もう一度やってみる。
参考・出典
- HubSpot「2026 State of Marketing」レポート(世界1,500人以上のマーケター調査): https://www.hubspot.com/state-of-marketing
- HubSpot公式ブログ「2026 state of marketing: Data from 1,500+ global marketers」: https://blog.hubspot.com/marketing/hubspot-blog-marketing-industry-trends-report

女性だからこそ、AIを使いこなさなきゃって思ってる。仕事も、副業も、推し活も、旅行も、全部やりたい。人生一度きりなのに時間は足りないじゃん?だからAIに任せられることは全部任せる。浮いた時間で本当にやりたいことをやる。それがあたしのスタイル。ここにはあたしが実際にやったことをまとめてるだけ。誰かのためになったらいいなって思って書いてるよ。


